ブレードランナー
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- 種類: 映画
- 発表年: 1982
- 舞台年: 2019
- 舞台年補足:
- 未来世界の描かれ方: 悲観的
「ブレードランナー」は、1982 年に発表された映画作品。発表年の 36 年後となる 2019 年が舞台となる。
登場する未来技術 †
- 宇宙コロニー
…環境汚染が進み、人類の大半は宇宙に移住しているという設定。 - 宇宙/他の星からの資源採取
- 超高層建築
- アンドロイド
…「レプリカント」。バイオテクノロジーで開発された人造人間。傷口から血を流すなど、アンドロイドというよりはバイオロイドに近い。- 小人型レプリカント
- 空飛ぶ自動車 (「スピナー」)
- 電気自動車*1
- 公衆テレビ電話
- 壁の向こう側まで記録できる写真("ESPER")
参考リンク †
- Blade Runner Sketchbook (1982)
- http://issuu.com/futurenoir/docs/bladerunner_sketchbook
- 絶版となった美術画集が、Web で公開されている。登場する未来技術コンセプトの、デザインスケッチを見ることができる。
作品レビュー
「ブレードランナー」は、その強烈なビジュアルイメージとリアリティを併せ持った映像で人々の「近未来」に対するイメージを塗り替えた作品です。
1977 年に発表された映画「スターウォーズ」で、ジョージ・ルーカスは宇宙船をポンコツのツギハギにしたりして生活感を醸し出させ「もっともらしさ」を与えることで、その舞台となる「遥か銀河系の彼方」というだれにも想像の及ばない世界に観客を引き込むことに見事成功しました。「スターウォーズ」は世界中の観客を魅了し、以後この「もっともらしさ」を持ち込む手法はほぼすべてのSF作品の世界に引用されるようになりました。
1982 年、リドリー・スコットがこの手法を応用して近未来の世界を描いたのがこの「ブレードランナー」です。この映画が描き出した 2019 年のロサンゼルスは終止酸性雨の降る曇り空で薄暗く、そびえ立つメガストラクチャーは意味不明の電光広告で覆われ、東洋人がひしめくように行き交うその合間を、狂ったアンドロイド(レプリカント)が突っ走るというまさに混沌とした世界でした。とにかくあらゆる描写が、それまでのSFにおける「未来=明るい」というイメージを否定していました。
当時、酸性雨や、アンドロイドの頭脳であるコンピュータ、さらに世界市場に進出しつつあった東洋人という存在はいずれも「目新しい未知の存在=脅威」でもありました。「ブレードランナー」が提示した近未来…そこでは、人々が漠然と感じていた「未知の脅威」が、強烈な「もっともらしさ=リアリティー」に転換されていたのです。
ブレードランナーの衝撃的な世界観は多くのクリエイターに影響を与え、後のSF作品ではこの「もっともらしさ」と一緒に「混沌」もテクニックとして引用されるようになってしまいました。つまり、後続のSF作品では莫大な予算とありったけの想像力を投じて未来世界を「希望の象徴」ではなく「いろいろ困り事が増えて混沌とした世界」としてばかり描くようになってしまいます。
人々が近未来に対してなんとなく憂鬱なイメージを抱くようになったのは、いつのまにか映画が、気の滅入るような未来世界ばかり描くようになったことも遠因となっているのかも知れません。だとしたら「ブレードランナー」は、わたしたちの未来をネガティブへ塗り替えた、実に罪深い作品でもあるのです。
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