映画やアニメに登場する、あの未来技術がどこまで実現してるのか調べよう!
みんなでつくる未来予想図
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  • 種類: 映画
  • 発表年: 1982
  • 舞台年: 現代
  • 舞台年補足:
  • 未来世界の描かれ方:

「トロン」は、1982 年に始まった映画作品シリーズ。時代設定年は明らかにされていないが、シリーズ2作ともに発表年と同時代と考えられる*1

登場する未来技術

  • タッチスクリーン
    …デリンジャーの机、または "Flynn's" 地下の、ケヴィンのコンピュータ。なお「〜:レガシー」の時代においては現実でも同技術は広く普及しており、未来技術ではなくなっている(劇中でも iPad などが登場する)。
  • 物体の量子転換
    • 人間も量子空間内に入ったり、帰ってきたりすることができる。
    • 逆に、プログラムも逆量子転換で現実世界に出てくることができる。
  • 人工知能
    …「マスター・コントロール・プログラム」、「クルー」など。
  • 立体視式空中投影ディスプレイによるインターフェイス:「〜:レガシー」にて、ディスクの内容を書き換える。

関連ニュース

2012.02.28. 160kmが出せる『トロン』の電動バイク
http://wired.jp/2012/02/28/tron-xenon/

作品レビュー

文:forevision.jp

この1作目が何十年以上もファンに愛されている理由は作品としての完成度はともかく、その映像スタイルがあまりにも鮮烈だったからです。この後、デジタルの世界を描いた映画は何本かあった気もしますが、トロンのように愛されている作品はありません。

また1作目は長編映画に初めて本格的にコンピュータグラフィクス…つまりCGが導入された作品として、映像技術史を振り返るたびに触れられます。もっとも、その導入箇所は「イエス/ノー」ビットやワイヤーフレームディスプレイなど非常に限定的でそのほかほとんどの特殊効果は、マットペインティングなどの光学合成処理によるものでした。

時を隔てること 28 年、2010 年に制作された2作目「トロン:レガシー」では一変、ほぼすべての特殊効果にCGが用いられています。しかも人物をCGで描くという、前作の時代ではありえなかった技術に挑戦され、しかもそれを成功させています。

面白いのは「トロン:レガシー」が、昨今の映像表現を飛躍的に進歩させたCG技術の進化というテーマについて物語のメタ構造にまで感じとることができることです。映像技術の進化の歴史の転換を俯瞰する視点を与えてくれる作品になっているのではないでしょうか。

ディズニーがトロン:レガシーで唱えた「宣言」

文:ipunos

「トロンの続編」を前作から28年も経過してしまったこのご時世に制作することには、重大なジレンマが伴っている。既にCG技術は至る所で使われるようになってしまっており、前作の単純なアップデートだけではなんの目新しさもない作品になってしまうことは必至だったのだ。しかしこのコトをディズニーは完全に理解し、昇華すべき作品に整えた。さらに紐解いていくと、まさに28年の進化を待って発せられるべき「ある宣言」を伴った作品になっていることが分かってくる。

コンピュータグラフィクス技術の完成

時代は2010年に至り、コンピュータグラフィクスの技術はほぼ実写と見紛うまで発達してしまった。今作の技術ハイライトがCGIの俳優による演技となったことからも説明できるように、28年前の前作ではコンピュータグラフィクスが「コンピュータの世界をコンピュータの世界らしく描く」為に導入されたコトと比べるとその用途も意味も、まったくもって変わってしまった。逆転したとも言えるだろうか。

ただ、「トロンの続編」は「ある宣言」を伝えるために、前作同様にCG技術の進歩をしっかり明示することを絶対に成し遂げなければならなかった。その点で、たとえば前述のとおり人間の表情をCGで描写するという挑戦もしている。制作には「ベンジャミン・バトン」のスタッフが関わっていたらしいが、誰もがよく知っている若かりしジェフ・ブリッジスをあれだけのクロースアップで再現させたというだけでも前作同様に映画史へ技術的な進歩を示す足跡を残すだろう。人物の表情を写実的に描写するコトはコンピュータグラフィクス技術の永年の目標であった訳で、奇しくもこの続編で打ち立てられたベンチマークは「映像技術の完成」をも示唆し得る。

…コトほど左様に、前作「トロン」に端を発して進化したコンピュータグラフィクスの技術によって制作者は映像に気の済むまで修正を繰り返し、まさにあらゆる「完璧な」映像を追求することが可能となったのだ。この28年の進化を待ってディズニーは遂に全編CGによる「トロンの続編」の制作に取り掛かったのだ。

…ところが。驚いたことに脚本家はこのコンピュータワールド<ザ・グリッド>の創造主ケヴィン・フリンに、「完璧な世界を作るだなんて、間違いだった」という台詞を言わせたのである。

「完璧な世界を作るだなんて、間違いだった」

言ってしまえば、前作「トロン」はコンピュータグラフィクスを初めて採用し、先鋭的なビジュアルイメージを表現したコトが評価されているようなものだ。逆を言えば、「トロンの続編」が制作されているというニュースは観客に期待を持って迎えられた反面、不安も過(よぎ)らせた。

なぜなら2011年においてCGによるCGらしい表現は、すでに価値を持っていない時代になってしまっていたからだ。しかしディズニーは2011年になって「トロンの続編」を制作する意図を、たった一行の台詞で説明した。

「完璧な世界を作るだなんて、間違いだった」。

「完璧な世界」を作り出そうと暴走を始めたクルーに対してケヴィン・フリンがこの台詞を投げかけたこの台詞は、ハリウッドで 9.11 以降のテーマとなっていた「原理主義批判」の暗喩である。ではディズニーは、なぜ原理主義を拒むのか。それは原理を用いて完璧な世界の完成を求めるのは危険であると考えているからだ。

なぜ危険か。それは手間ヒマを掛けてわざわざ若いジェフ・ブリッジスを登場させたことを鑑みれば、明確である。究極の目標であったCGIによる俳優の置き換えが成功することによって、CG技術は「完成」することになるが、それは同時に「これ以上の発展はなくなるだろう」ということも意味してしまうのだ…「グリッド」が発展の末に辿った運命と同様に。…しかし。

「完璧な世界を作るだなんて、間違いだった」。

前作からひきつづきの出演となる<ユーザー>ケヴィンに、この原理主義を拒む台詞を言わせるコトによって「ディズニーは完璧な完成など選ばない。我々は自由な発想と創造力を行使して理想に限界を設けない」という、実に力強く、頼もしい宣言を読み取ることができることができないだろうか。この宣言は、無駄な深読みではないはずだ…「完璧な完成を求めない」というのはディズニーが繰り返し用いている制作ポリシーであるからだ。たとえばファンタジア構想も(まだ2作品しか作られていないが)完成を拒否したものであるし、ディズニーワールドも開園以来「完成」など一度も宣言したことはなく、ウォルトディズニー自ら「常に進化する庭園」が提言され、今も日々イマジニアによって手が加えられているのだ。

CG技術を映画の世界に持ち込んだまさにその張本人のディズニー自らがこのような宣言を今、改めて発することは、責任感に満ちた重要なコトであるように私には思える。

赤狩りの時代にその渦中に巻き込まれてしまったディズニーには、陰謀論めいた噂も絶えない。おまけにディズニーには有能なばかりかいたずら好きなクリエイターが多く、彼らが白雪姫などの作品に仕込んだ「いたずら」に、ディズニーの「陰謀策の影」を見出すヒトたちも多い。しかし、「トロン:レガシー」が紡ぎだしたこの原理主義を否定する物語は、ディズニー(社)にまとわりついてしまったポリティカリティーを厄介者として「振り払う」のではなく「正当化させてふたたび身にまとう」という離れ業まで成功させたことになる。なぜ自由を重んじるのか、そのための明快な根拠が物語を通じて、とても簡素に打ち出されているのではないだろうか。

説得力を裏打ちする完成度

もっとも、この宣言に説得力を持たせているのは「トロン:レガシー」が前作の世界観をしっかり踏襲した上で見事な作品に仕上がっているからである。本当に、IMAX3Dのスクリーンを活かした映像と音響による迫力は筆舌に尽くすことができない。衣装、美術、カメラワークどれをとっても手抜かりがなく、レコグナイザーの迫力やライトサイクルが描く曲面ガラスのような光跡の美しさなどそのどれもがディズニースタジオのアーティストたちの才能の豊かさを存分に示していた。彼らはこれから、そのイマジネーションを駆使して更なる未来を切り開いてくれるに違いない。

SF映画は数あれども、こんな風に制作背景を飲み込んで成立しているメタ構造を備えた世界観は、ユニークではないだろうか。

サウンドトラック

ウエンディカルロスによる1作目のサウンドトラックも当時のSF感をうまく閉じ込めた楽曲が聞けるのですが、その「SF感」のエッセンスを見事に現代に復活させたダフトパンクによる「〜レガシー」のサウンドトラックは、まさに白眉。ジェフブリッジスの台詞 "I've got in!" を活かした "The Grid"、冒頭のデュカティのシーンで使われる不思議な拍子のアルペジオ "The Son Of Flynn" といった、音だけでこの世界観に引き込む楽曲につづき、レコグナイザーの登場や、バーでのケヴィン降臨といった劇的なシーン転換を盛り上げたのはこのサウンドトラックでした。それからもちろん、”FLYNN’s” のブレーカーを上げた瞬間に「アレ」が躊躇ない大音量で流れて胸が熱くなった貴兄も少なくないでしょう(この2曲はサントラ盤未収録)。

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脚注

*1 「〜:レガシー」にて iPad 1G が登場したことから同作の舞台は 2010 年頃であること、さらに同作にてサムが FLYNN'S のブレーカーを上げると 80 年代のヒット曲が流れるため、前作も発表年と同年代が舞台だったと推察できる(断定は不能)。

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更新:2012.05.15. (火) 16:37:17
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